なんつーかもう、いろいろと呆れて怒りさえ沸いてこなかった。
仕事中に寝てんじゃねーよとか。
こんなとこで寝落ちすんなよとか。
ビビらせんなよとか。
っつーか仕事まだ終わってねーだろとか。
俺におかえりを言えよこら、とか。
もう、いろいろと、だ。
「人がどんだけ……」
焦ってきたと思ってる。
そう言ったところで、コイツには絶対わからない。
「嵐さん何勘違いしてんすかーぷーくすくす」とか言うのが目に見えている。
勘違いさせるようなところで寝てるほうが悪い。
庭の一角で倒れるようにされてたら、誰だって焦るに決まっている。
帰ってきたばかりだというのに、無駄な体力を使ってしまった。
ようやっと漏れたため息。
そのまま、山田の脇に腰を下ろした。
人の気配を察したのか、山田は身じろぎする。
起きるかと思ったが、
「……もごもご」
と、口を僅かに動かしただけでまた、スヤスヤ、だ。
ふざけんなよマジで。
こっちは気力も体力も、全部持ってかれたような脱力感に襲われているというのに。