で、今日も今日とて山田を探し回った俺が、やっとのことで見つけたと思った本人はせんべい食いながら掃除とかしてるし。
なんだコイツホントにメイドかよおい。学校マジ何教えてんだ。
「やー大理石掃除すんの夢中になってたらつい」
「お前いい加減にしねぇと大理石禁止令出すぞ」
「えーなんすかそれヤダー」
「嫌なら覚えろ。迷子になるな。」
「っていうかちゃんとわたしも学習してるんすよ?」
「へぇ。どこがだ、言ってみろ。」
「せんべい持ってきてるじゃないっすか」
「…………。」
「最初迷子になった時に超腹減ったんすよ」
「…………。」
「だから最近は非常食持ち歩いてるっすよ」
「…………。」
「ほら、わたし超学習してるじゃないっすか」
「どうやったらその右斜め上な学習能力が身につくんだよ生まれる前からやり直せ。」
言いながら、山田が食いかけていたせんべいを取り上げ、自分の口に放り込む。
山田は「あー」と間の抜けた声でそれを見ていたが、すぐに唇を尖らせて拗ねる。っつーか不機嫌になる。
「なんで人のもの取るんすかね金持ちって。ヤダわー」
「さっき“せんべい食べます?”っつってきたのはお前だろ」
「新しいのあげましょうかって話っすよ。それわたしが食べてたヤツじゃないっすか」
「お前の食ってるヤツが美味そうだったから」
「どれも同じ味っすよ」
「さあどうだか」
右手を山田の頬に伸ばし、口元についたせんべいの欠片を親指で拭い取る。
その親指をぺろりと舐めて、口角を持ち上げた。


