隣の彼女がメイドだったんだけど。





唖然とする俺に向かって、宮埜が肩を竦めて見せた。


「言っておくけど、俺はなんにも企んでないし、なんにも知らない」

「……じゃあ、なんで親父連れてきてんだよ」

「全部山田ちゃんに頼まれただけ」


ちらり、山田に視線を投げた宮埜につられ、俺の視線も山田に飛んだ。

山田は普段通りの顔で、うむ、とうなずいた。


「嵐さんが管理塔に行ってるのは知ってましたし、少し事情も知ってたっぽいので頼んでみました」

「頼んでみました、じゃねーよアホかお前!」

「えーいいじゃないっすか、この超ファンタジックな書庫で家族会議とか普通できないんすよ、超激レアっすよ、今なら天体観測も無料でついてきますよ、いかがっすか」

「2回も同じネタが通じると思うなよ。」


途端に拗ねる山田。俺はため息しか出なかった。


……なんつーか。

親父が頼んだのかもしんないけど、やっぱ俺の世話を必要以上に焼くその性格は、ある意味、メイドに合ってるよ。お前。

そう思ったら、ちょっと笑えた。


「……まあ、いいか」


たしかに、こんなファンタジー空間で、家族会議はなかなかできない。

レアな機会に恵まれたってことで、ここは言うこと聞いといてやる。



「――親父」


顔を上げ、呼ぶ。

こちらを見据えた親父の目は相変わらず冷たいけど、それが強がりだということは、俺が一番よく知っている。

なんつっても、切っても切れない、親子だからだ。


「ちょっとこっちきて、話そーぜ」


にやり、笑いながらそう言った俺に、親父は一瞬目を見開いて。



「……あぁ、そうだな」



瞼を下ろし、穏やかに微笑んだ。