隣の彼女がメイドだったんだけど。






「――……で、そろそろいいかな?」


何の前振りもなく響いてきた声に、俺は顔を上げた。

聞き慣れた声で思わず振り向く。

開けた扉から現れたのは、


「……宮埜…?」


どういうわけか、ヤツだった。

宮埜はいつもの調子で、右手を持ち上げた。


「よう、久宮。派手に泣いてるみたいだけど、笑っていい?」

「コロス。」


いつの間にか流れていたらしい涙を、雑に拭う。

宮埜のバカが乱入してきたせいでいろいろとぶち壊しだ。

コイツどうしてくれようか、久々に外出したんじゃないかと思われるコイツを太陽の下に晒したら灰にでもならねーかなとか思ってみる。

俺がそんなことを考えているとはつゆ知らずであろう宮埜は、思い出したように「あ」と。


「あ、そういえば、お前のこと久宮って呼ぶと混乱しそうだな」

「は?」


どういう意味だ、と尋ねようとする。

が、それは宮埜が扉の向こうに呼びかけ、現れた人物によって、遮られてしまった。


「…………」


わけがわからない。

どうして、なんで、と疑問ばかりが浮かんでは、消えた。


扉の向こうから現れたのは、紛れもなく、親父だった。