メイド服の山田真子に、何バカな質問してんだコイツ、と思うだろう。
自分でも思う。
が、俺の記憶で言えば、隣に住んでた“友人”は、どう記憶を辿っても男だった。
服装はいつも半ズボンで、口も悪かったし(これは変わってないか)、何より一人称が「おれ」だった。
「ぼく」でもなかったところがコイツらしいと言えば、それまでだが。
名前もそういえば違った気がする。
真子とかいう名前じゃなかったし、そもそも苗字も山田じゃなかった、ような。
どういうことだと思うだろう。
悪いが俺にもわからない。
内心で大混戦中の俺は、しかし山田は「あー」と今、たった今思い出したというふうな声でうなずいた。
「そういえばそうっすね」
「やっぱ間違いじゃなかったのか」
「そうっすね、たしかにわたし男子でしたわ」
「…………。マジで?」
「なんすかその“コイツ男のくせにメイド服とか来てメイドやってんのかありえねえなにそれキモイ”的な目は。超失礼っすわ」
「どう考えてもそうなるだろ。」
「言っときますけどわたしれっきとした女子っすからね。なんなら脱ぎましょうか」
「いや結構だよ!」
「あり、嵐さんなら超喜ぶんじゃねーのとか思ってたんすけどね」
「何度も言うがお前は俺をなんだと思っている。」
気がつけばいつも通りのコントになってきているので、話を戻す。
「……じゃあ、なんで昔と今で全部違うんだよ。性別も名前も」
「話すと長くなるんじゃが……そうさな、昔々のことじゃった」
「茶番はいいからさっさと話せ。」
「嵐さんホントノリ悪いっすわーないわー」
「ちゃんとした説明がないとこっちの立場が危ういだろ。」
「え。……あー、なるほど、つまり“コイツもしかしてずっと男が好きだったってことになるじゃん”ってわけっすね?ぷーくすくす」
「お前マジでブッコロスぞ。」


