隣の彼女がメイドだったんだけど。





『ね、嵐。この星見てると、なんかいろいろ、どうでもいいなあって、思うよね』


その時隣に居た山田が、そう言ったのを覚えている。

どうでもいいなって話だけで、済まされるものでもなかったけれど。

その時山田が隣に居てくれて、それでこの星のどこかに母さんが居るんだと思った俺は、不思議と寂しくも悲しくもなく、すっと、何かが軽くなるような気さえした。

だから、『うん』とうなずいた。

そしたら山田が笑ったから、俺もつられて笑ったのだ。


そんな記憶を、思い出した。



で、さらに重要なことまで思い出した。




「……そういえば、山田」


気づくの遅すぎっすよこっちはあれこれ思い出すようにしてたっていうのにありえねっすよ、などとぶつくさ言っている山田を呼ぶ。

すると山田はぶつくさ言うのを渋々と言った様子でやめ、「なんすか?」と俺を見上げた。

そんな山田を、頭のてっぺんから爪先まで、ざっと眺める。

山田がいぶかしげな表情を浮かべた。


「え、なんすか嵐さん、超変態っぽいっすよ今の。まあ変態なのは把握してますけどね」

「だからお前は俺をなんだと思っている……?」

「へーんたいっ」

「変身みたいに言ってんじゃねぇよ。」


いやそうじゃねぇよ。


自主ツッコミを付け加えてから、思い出してしまった重要な記憶を確認する。

そうだった、やっぱりそうだったはずだ。

確認してから、口を開く。


「記憶違いだったら悪い」


いまだ怪訝な表情のままの山田に、俺はこう尋ねた。



「……お前、男じゃなかった?」