そうか。
そうだ。
そうだったんだ。
山田の声で、今の言葉で、この星空で。
今の今まで忘れていた記憶が、蘇った。
そうか。
そうか、そういうことか。
……だからお前は、全部わかってたんだな、山田真子。
「……山田」俺は星空から、隣の彼女に顔を向けた。「お前、昔うちの隣に住んでただろ」
そうだ。
やっと思い出した。
一緒に遊んでいたのも、難しい字を教えてくれていたのも。
全部。
山田はこちらを見上げた。
俺と目が合った山田の表情は、呆れ顔だった。
「遅すぎっすわ」山田は口を尖らせた。「いつ気づくかなーって超気になってたんすよ」
山田が本を読み聞かせてくれたとき、何故か懐かしい気がした理由がようやくわかった。
コイツはたまに、難しい本が読めるようになると、自慢するため、俺に読み聞かせに来ていたのだ。
昔からコイツはそういうヤツだった。
そしてこの、星空。
母さんが居なくなった時、夜に眠れない俺をどこで知ったのか、こっそり家を抜け出してきたらしい山田が、突然部屋にやってきて、「嵐、星とか見に行こう」とありえないほど軽く誘ってきたことがあった。
いやいややめたほうがいいよとビビる俺を引っ張って、山田に強制連行された記憶がある。我ながら黒歴史だ。
そうして山田につれられるまま、街を駆け抜け、丘を登り、見つけた星空に圧倒された。


