驚かないで聴いて欲しい。

いや、驚いたというより、俺はむしろ呆れた。

この学園ほどアホかと思える学校も、早々ないだろうと思った。

で、それがどういう話かと言うと。


昨夜の襲撃は、すべてドッキリだったということ。


まあ、ドッキリ、というにはかなり違う。

これも従者育成科のプログラムだったらしい。

敵から主を守るプログラム。

つまり護衛を育成していたということだ。

従者兼護衛を育成し始めたのは、どうやら今年からだったらしい。

しかも、金持ち集団の本校には内緒で。

どうりで本校全員、誰一人知らなかったわけだ。

で、その成果も見るために、犯罪者っぽく変装した育成科の生徒と、現在どこかの家に配属されている生徒がやり合う的なプログラムを組んでいた、という、そう言う話。


聞いて呆れる話だった。まったくもって。

それならたしかに、後頭部殴るのが弱かったことも頷ける。

気絶しなかったわけだし。

しかし身動きを取れなくなったのは、育成科特性護衛用なんたら、とかいう名前の道具で殴ったから、らしかった。


けれど育成科の戦闘力は抜群で、ホールの方は本校生徒が避難するほどだったようだ。

ある意味、その場に居なくてよかったな、と俺は思う。


で、ホールを離れていたこちらはというと。

俺は途中で意識飛ばして覚えてないが、どうやら山田が圧倒的だったらしい。

それを何故知っているのかと言えば、出所は宮埜だ。

管理塔から監視していたようで、翌日俺が飛び込んでくるなり爆笑しながら「久宮ご愁傷様ー」とか言ってきやがったので足蹴りしておいた。

学校のプログラムだったから、コイツはまったく動かなかったんだな、というのも把握した。