「もう…別れよう」

俺がそう告げると彼女は俯いたまま「うん…」とだけ言った。
そのまま話すタイミングを逃した俺達の間にはなんとも言えない重苦しい雰囲気がただ流れている。
17時が過ぎた公園に子供の姿はなく、近くのブランコが風に吹かれてギイギイと軋んでいる。

…何を言うべきなのだろうか。好きだった?…いや、俺から別れようと言ったのにこれはないよな。
言い訳してるみたいだし。
俺なんかよりいい男みつけろよ?…うん、これならいいだろうか。
口を開こうとした瞬間――

「私ね、ユウキの事好きだったよ」
今だ俯いたまま、彼女は言った。

彼女は立ち上がると俺を見つめて「バイバイ、ユウキ」と小さく言って駆けていった。







最後に見た彼女は目に大粒の涙を浮かべながら微笑んでいた。