「ごゆっくり」


顔を上げた瞬間、あたしを見て器用に片目を瞑る。


莉央さんはその足で、注文をしようと手を挙げた天野さん達のテーブルに行く。


「……新しく雇われた人かな……見たことない人……」


そりゃそうだ。多分今朝入ったんだろうから。


飛鳥の呟きに、心の中でそう答える。


「いただきます」


手を合わせて紅茶をひと口飲み、フォークを取って、ケーキを食べる。


「ん!おいしーっ」


「え……おいし……」


「?おいしいよ?」


「あ、よかった」