「はよ」



エントランスの前に止められたバイク



「おはよ」


雄雅に挨拶を返す



「乗れよ」


雄雅に言われてあたしは後ろに乗った



あたしここ嫌いなんだよなぁ



「掴まっとけよ」



「ん」



バイクが動き出す



あたしはバイクの後ろにいい思い出がない



親父の後ろに乗せられた時も


兄貴の時も


毎回バカにされてた



お前はまだ乗れないって言われたり


喧嘩で負けた時は弱すぎるってバカにされて



バイクの後ろに乗せられるたびに絶対負けねぇって誓ってた



それがまさかこんなことで乗ることになるとは



思ってもみなかった