「あっ」
中にあったのは高校に入ってからずっと波夏がしていた指輪だった
「返しておいてください
うちの下っ端がまみさんを拉致った時
助けに来た波夏が落として行ったんだと思います
落ちてたって言って返すわけにもいかなくて」
それはそうだな
でもこれはこいつが返すべきだろ
そう思って指輪を海竜に差し出す
「波夏が目覚ましたらお前が返してやれ
お前が拾ったんだから」
海竜が驚いた顔をする
「いいんですか?
俺が波夏に会っても」
俺はほほ笑んだ
「いいんですかも何も
あいつがお前に会いに来る
絶対に」
あいつはそういう奴だから
だから俺たちは桜であることを誇りに思えるんだから
「じゃあ俺は波夏のところに戻るから
お大事に」
「わざわざありがとうございました」
俺は海竜の病室を後にした
波夏が意識を取り戻したのはそれから3日後だった