恋を知るまでの距離




どんどん席に近付いてくる櫂を、私はほぼガン見してた。


その視線に気付いたのか、櫂は私の方を向いた。

そして、目線がぶつかって櫂の目が少し大きくなった。


「翼…?」

目をパチパチさせながら、私を見てきた。

「翼だよな?」

「う…ん」

必死に振り絞って出せた言葉だった。

「久しぶり。元気だった?」


あぁ。
昔の櫂と同じだ。櫂だ。櫂が私の前にいる。


「櫂っ。会いたかった」

私は嬉しさのあまり、大声をだしてしまった。


「なんだ?知り合いか?」

「「はい」」



「本当に久しぶりだね。4年ぶり?」

「あぁ」

ぎこちなく話しながらも、時間は過ぎて1時間目終わりのチャイムが鳴った。