だいたい「情報部員」というものが「存在した」というだけで大騒ぎするのは日本人ぐらいのものである。
たとえば「アラビアのロレンス」という映画で有名なトーマス・エドワード・ロレンス中佐は実在したイギリス軍の情報部員である。
身分を隠してオスマン帝国統治下にあったアラビアに潜入、第一次世界大戦でアラブ人が帝国に反乱するよう政治工作を行った。

ロシアの大統領プーチン氏もソ連時代の情報機関KGBの情報部員であった。
そして別にその経歴を隠していない。
プーチン氏が元情報部員である事実が、彼が政治家になる上では問題にされた事はない。
非合法活動に従事したのでなければ情報部員が一国の大統領になれて、かつその事をことさら問題にはしない。
これが世界標準の受け止め方である。

日本だって現在は主要国の大使館には自衛隊員を常駐させている。
外国では「大使館付き武官」と呼ぶが、その任務は友好国なら相手の軍といざという時のパイプを作っておくこと。
関係が悪い国なら、その国の軍の動向を日頃から探っておく事。
これは情報収集活動だが、では日本人はこれを「スパイ行為」だと非難するのだろうか?