こういう非正規労働者がぎりぎり年収130万円未満で、そのおかげで消費税の「給付付き税額控除」制度の給付金をもらえるとなったらどうするか?
 パソコンスキルや簿記の資格や英会話を身に着けて「いつかは正社員に」と思うだろうか?

 下手にスキルアップやキャリアアップして正社員になって、確かに収入は多少上がっても給付金がもらえなくなり、年間数万円の年収アップと引き換えに過労死確実の重労働を強いられる「安定した正規労働者」になりたがるだろうか?
 給付付き税額控除を今の日本で導入したら、意図的に低所得の非正規労働者に留まろうとする若者が増えるのではないか?失業者は本気で就職しようとはしなくなる。

 では中、高レベルの所得水準の人はどう考えるか?
 高い消費税ふんだくられて、その金が「怠け者の非正規労働者」の小遣いになっている、と感じるはずだ。
 当然まじめに税金払うのは馬鹿らしくなる。

 サラリーマンはともかく、自営業者や会社経営者は脱税や所得の過少申告に精を出すようになるだろう。
 また雇用者の場合、ぎりぎり年収130万円を超えている従業員の給料を、給付金がもらえるレベルまで下げる可能性もある。
「給料下げるけど、政府から給付金もらえるようになるからいいだろ?」と企む経営者は必ず出てくる。

 この危険を考えないで導入する給付付き税額控除は未来の日本を滅ぼす。第2の生活保護、それも「合法的な不正受給」を可能にしたら、この国は終わりだ。