この風潮は明治維新になって、西洋先進国の目を気にした政府が何度も禁止令を出したため、多少下火にはなったが、やはり庶民レベルでは完全になくなりはしなかった。
 入れ墨を擁護する気はないが、本来は入れ墨、刺青イコールヤクザではなかったわけだ。

 戦後になって銭湯などの公共施設で「刺青の方お断り」の風潮が広まったため、確かに今では彫り物であっても入れ墨=ヤクザ、暴力団という図式になっている。
 だから公務員が入れ墨(刺青)とは何事か!という橋下市長の言い分は正しいと思う。

 だが、今の、少なくとも東京の若者には女性も含めて、西洋式のファッション・タトゥーをしている人が少なくない。肩や胸、二の腕などに数センチの花、蝶などの模様を入れ墨している、あれだ。

 こっちはアメリカやヨーロッパ諸国などから入ってきた習慣で、日本古来の彫り物、刺青とは全く起源が違う。
 また日本の伝統的な刺青が廃れたのは「先進国として恥ずかしい。欧米人に笑われる」というのが最大の理由だった。

 その欧米先進国の先端ファッションとして輸入されたファッション・タトゥーを同じように否定し、社会から排除できるのか?というのは、今後難問になる気がする。