なぜ増えたのか?
 米国内での経済格差が広がったためだという見方がある。
 もともと米国は経済的には階級社会であり、日本など問題にならない程の格差社会だ。
 だが「アメリカン・ドリーム」がその社会的矛盾を解決してきた。

 米国ではどんな貧乏人だろうと能力さえあれば奨学金で大学に行って成功出来る社会だという価値観を国民が共有してきた。
 だから階級や格差は流動的な物であり、実際体一つで移民してきた貧困層の子供や孫が中産階級化する、という事はそれほど難しい事ではなかった。

 だが21世紀に入ってからアメリカン・ドリームが機能しなくなったのではないかと言われている。
 象徴的なのがニューヨークから広がった「ウォールストリート占拠運動」である。
 貧乏なのは本人の能力不足、努力不足、自己責任というのが米国の伝統的価値観だった。
 仮にも大卒や大学生があんな運動を起こすのは恥だと、20世紀までは考えられたはずだ。

 また次に米国発の金融危機が起こるとすればスチューデント・ローンがその引き金になるのでは?と大真面目に心配するエコノミストが出てきている。
 米国の有名大学はほとんどが私立で学費だけで年間数百万円もかかる。
奨学金には受給者枠があるので、大半の学生は銀行から学生ローンを借りて大学に行く。