米国の対イスラエル政策を左右するのは米国在住のユダヤ人、いわゆるユダヤ・ロビーだというのが長年の常識だった。
 だが近年この構図が微妙に変化しているという。

 一口にユダヤ人と言っても一見しただけではそうとは分からない世俗派と、一目でユダヤ人だと分かる服装で町を歩いている正統派に分かれる。
 正統派の中でも特に教義にやかましい人たちを「ウルトラ・オーソドックス」と呼ぶ。
 米国が核兵器を使ってでもイスラエルに味方すべき、と主張するのはこの超正統派が多い。

 だが現在イランやアラブ諸国と戦争してでもイスラエルを支援しろという過激な主張をしているのは、数の上ではユダヤ・ロビーより白人キリスト教徒の方が多いのではないか、という説がある。

 日本人はアメリカ人というとニューヨークなどの大都会の白人中産階級を連想しがちだが、内陸の田舎の州に行くとかなり保守的な人も多く、またキリスト教徒でも狂信的と言うべき集団もいる。

 学校でダーウィンの進化論を教える事に反対するような人たちで、その中でも特に過激な宗派の信者をかつては「キリスト教原理主義者」と言った。
 2001年の9.11テロ以降「原理主義」という言葉はイスラム教の専売特許のようになったので、区別するために日本では「キリスト教右派」などと今では呼ばれる。