キリスト教の天使は現代では、肉体を超越した存在なので「性別」など無いとされている。
 ただ今ある聖書は、歴史上存在した様々な記録から抜粋した物で、教会にとって矛盾があったりする文書で正典に編入されなかった物が多くある。これを外典、偽典と呼ぶ。

 この中には「グリゴリ」という堕天使の物語がある。
 堕天使と言うと神に反逆して地獄に落とされたサタンをリーダーとするグループだけが有名だが、それとは違う理由で天界を追放された別の堕天使のグループである。

 彼らの罪はアダムとイブの間に生まれた娘たちの美しさに目がくらんで、結婚して子供を作ってしまった事。
 これは当然神の言いつけにそむく行為で、また生まれた子供が全てモンスターだったので、神は洪水を起こしてこのモンスターを地上から一掃してしまった。
 この外典では、ノアの方舟で有名な洪水はこのモンスターたちを滅ぼすために神が起こした事になっている。

 さて人間の女性と結ばれて子供が出来たという事は、この天使たちは明らかに男性である。
 聖書の正典が編纂される前には一般信者は「天使にも男女の性別がある」と認識していたわけだ。