今日は私の5歳の誕生日。

最高の日になるはずだった…。




パーンッ!

『おめでとーっ!』

『せーのっ!』
フー…。
パチパチパチ…

『百合ちゃん、おめでとう』

「優くん、ありがとう!」

そう言って優くんがくれたのは
ハートが銅で作られている
ネックレスだった。

「あれ?つけれない…。」

『仕方ないなぁ〜。』

優くんは私がネックレスに
苦戦しているのを
面白がりながら
それをつけてくれた。

「ありがとう…。」

『………。』

普通はここは
笑うところだ。
だが優くんは嬉しいのか
悲しいのか
分からないような笑顔だった。

「……どうしたの?」




『百合ちゃん…僕、
明日引っ越すんだ……。』

瞬間に私はつい

「嘘でしょ…?」

優くんは何も言わずに
黙って走り去って行った。

次の日に優くんは
挨拶もなしで引っ越して
行ってしまった。