窓際の一番後ろにぽつんと置かれた席が、千鶴の席になった。
教室の真ん中にあるわたしの席とは少し離れている。
ほっとした。
昨日の今日で近い席だったら、どうすればいいかわかんないから。
ホームルームが終わっても、空気は浮わついていた。
もちろん転校生の存在によって、だ。
「千鶴さん」
まず千鶴に話しかけたのは、前の席の男子。
「俺、学級委員長の神崎」
みんながその様子を見守る。
わたしも。
千鶴は表情を微笑みのかたちに作り。
そして、言い放った。
「馴れ馴れしく下の名前で呼ぶんじゃねえよ」
――――え?
たぶん、聞いた全員が呆気に取られた。
