「負けちゃった~」
へろへろになってコートから出たユカを、
「よかったよ!」
「うんうん、いい試合だった」
なんて健闘を讃えて迎えるクラスメイト達。
みんながユカの頭を撫でたり小突いたりする。
それらが一通り終わった後、ユカがわたしの元にやって来た。
「奈々子ぉ。わたし、どうだった?」
首を傾げるユカに、わたしは親指を立ててみせる。
「かっこよかったよ」
「ほんと?」
「うん」
すると、ユカはへらりと笑う。
「へへ。そっかそっか~」
でも、彼女の拳が震えてることにわたしは気づいていた。
ユカは負けず嫌いだ。
いつもニコニコへらへらしてるから、それを知ってる人は少ないけど。
「疲れちゃったから、ちょっと休んでくるね」
ユカが手を振って、校舎に戻っていく。
たぶん、どこかで泣くんだろうな。
そう思ったから、一緒には行かない。
負けず嫌いのユカは、本気で泣く自分を見られることをとても嫌うから。
