「今日から仲間がひとり増えるからな。みんな仲良くしろよ」
朝のホームルームで担任の先生がそう言った。
ざわつく教室。
扉を開けて入ってきたのは、女の子だった。
昨日の、あの――美少女。
「あっ」
小さく声を上げたわたしを、彼女が一瞬だけ見たような気がした。
「ほい、挨拶して」
先生に促されて、彼女が頭を下げる。
「宝田千鶴です。よろしくお願いします」
凛とした声が響いた。
美少女の転校生。
漫画みたいな展開に、クラスメイト達はちょっと興奮気味だ。
「やっべ、可愛い」
「色白!」
「モデルみたーい」
「え、ちょっとマジでうちのクラスラッキーじゃん」
ひそひそにもなっていない無数の男女の声が飛び交っている。
彼女――千鶴はその中で、無表情のまま立っていた。
