バスケの一回戦は一年生が相手で、なかなかの接戦だった。
「がんばれー!」
わたしは声を張り上げて応援する。
昨日の昼休みと放課後、千鶴は渋々バスケの練習をした。
けれど。
そんなに簡単に克服できるほど、彼女の運動音痴は甘くなくて。
チームは戦力外をひとり抱えた状態で、プレイしていた。
「‥‥やばい、こんなに苦戦すると思わなかった」
なんとか勝利した後。
コートから戻ってきたチームメイト達が、次々に床に倒れ込む。
千鶴も汗だくで座り込んだ。
‥‥彼女はそんなに動いていなかったと思うんだけど。
パスもほとんど回ってなかったし。
「大丈夫?」
「大丈夫なわけねーだろ」
「二回戦はもっと頑張ってね」
「‥‥最悪だ」
ゼーゼーと肩で息をしながら、千鶴は教室に戻っていく。
次の試合まで休むんだろう。