それから20分ほど経った頃、玄関のベルが聞こえた。
「奈々子、お友達よー」
え。
こんな時間に?!
「すみません、こんな時間に訪ねてしまって」
「いえいえ。わざわざ奈々子の忘れ物届けにきて貰っちゃってねえ」
「もうちょっと早くに思い出せばよかったんですけど」
「忘れ物した奈々子が悪いのよー」
そんな会話をお母さんとしながら、わたしの部屋に入ってきたのは。
――千鶴だった。
「コーヒーとココア、どっちがいいかしら」
首を傾げたお母さんに、
「いいえ。すぐに帰りますから、お気遣いなく」
ニッコリと微笑む千鶴。
ものすごい猫かぶり。
こんなマトモな言葉遣いもできるんだ‥‥。
お母さんが出ていった後、千鶴はすぐに笑みを引っ込めた。
