わたしのスクールバッグを持ってきた千鶴は、後部座席に乗り込んだ。
当たり前みたいな顔をして。
「千鶴は歩いて帰れるだろ?」
「ケチ臭いこと言ってんなよ。帰るアパートは同じじゃん」
「降・り・な・さ・い」
「嫌だね」
先生と千鶴の押し問答がはじまってしまった。
おかげで、なかなか車が走り出さない。
千鶴がニッコリと微笑む。
「友達が心配なので、家まで付き添いマス」
聞いてるほうが驚くくらいの、棒読みだった。
結局、諦めたのは中里先生だった。
千鶴を乗せたまま車が走る。
ああ、痛いなあ。
足が痛い。
なんだか酷くなっていく気がする。
わたしは痛みから意識を反らしたくて、窓に額を押し当てた。
