「階段から落ちてきた千鶴とぶつかって、怪我したんだって?」
「あ――はい」
わたしは胸元を押さえながら、中里先生に答えた。
心臓がドキドキしてる。
なぜか。
「千鶴のほうは怪我ないのか?」
「ねーよ」
「おお、すごい。奈々子のおかげだな!」
「いいから、とっととそいつを運べ」
千鶴は無表情で言い放つ。
ドキドキしてるのはわたしだけみたいだ。
なんだか悔しい。
中里先生は、わたしに背中を見せて屈む。
「ほれ、おんぶ」
「うええっ」
「足が痛いんだろー? 遠慮しないで、ほれ、おんぶ」
まさか、この年になっておんぶされるとは。
先生の背中に乗っかると、ふわっと足が宙に浮く。
力あるなあ。
さすが男。
でも、ダイエットしとけばよかった‥‥。
