千鶴の足が一歩、前に出る。
「だから?」
一歩。
また一歩。
「だ、だから! 放っときゃいいなんて、言うな!」
こちらに近づいくる彼女に、わたしは言葉をぶつける。
「お人好し」
千鶴の口角がくっとつり上がった。
「お人好しのなにが悪いんだ!」
言い返すわたし。
突然、わたしの左手を千鶴の両手が包み込んだ。
ひんやりと冷たくて。
思わず、息を止める。
「あんた、どーせ気づいてないんだろ? 他人のことしか見えてないから」
「え?」
「ここ、怪我してる」
「――あ」
わたしの左手が、千鶴の顔へと引き寄せられる。
