そんなわけで。
六月の緩い日射しを受けつつ、お弁当を半分こするわたし達。
「あっちょっと玉子焼き!」
二切れしかない玉子焼きの両方を取られて、わたしは声を立てた。
「半分ずつって言ってるでしょお!」
「あんた、うるさい」
「はああ?」
「食い意地張ってんじゃねーよ」
「どっちが!」
うぬぬぬ。
手を踏まれたことは許せても、食べ物のことは譲れない。
負けるもんか!
「おい、あんたプチトマト全部食ったろ」
今度は千鶴が文句を言い出す。
「だからなに」
「わたしは食べてない」
「知るか!」
「あんたが半分ずつって言ったんだろ」
「あんたがそれを破ったんでしょーが!」
ぎゃあぎゃあ。
ぎゃあぎゃあ。
うららかな午後。
わたしたちの昼食は戦いだった。
