結局、わたしは屋上を選んだ。
『立ち入り禁止』
そう扉には書かれているけれど、こっそりと。
鍵が壊れているため、入り込むのは簡単だ。
屋上に出た千鶴は、辺りを見渡して。
「誰もいない」
と、確認するように呟いた。
やっと千鶴の手が離れる。
「えっと。じゃあ」
わたしはさっさと教室に戻ろうと、体を反転させた。
すると、ぐっと背中が引っ張られる。
振り返ると。
千鶴の手がわたしの制服の裾を掴んでいた。
「腹減った」
「はい?」
「腹が減りすぎて死にそうだ」
‥‥なんでわたしに訴えるんだ。
わけがわからん。
