「ど、どこ行くの?」 廊下に出て、歩く。 わたしの左手首は、千鶴の手が掴んだままで。 右手にはとっさに持ったお弁当がぶら下がっている。 ああもう、お腹空いたなあ。 この子なんか怖いし。 教室に帰りたいよ。 「誰もいないところ」 「へ?」 「誰もいないところに案内しろ」 「ええ~‥‥」 困った。 昼休み中に誰もいないところなんて、そんな。 「トイレの個室とか」 「ふざけんな」 ですよね。