その日の昼休みは、他のクラスから遊びに来る生徒が多かった。
美少女転校生の噂を聞きつけたんだろう。
「宝田さんっていうんだよね」
「どうよ、この学校?」
果敢にも声をかける男子生徒達。
あああ。
彼女がどんな人間かも知らずに‥‥。
「普通」
千鶴はスクールバッグからコンビニ袋を取りだしながら答える。
「普通かあ。あ、それ昼飯?」
「あんたに関係ない」
「あはは。まあ、確かに関係ないけど」
この男子はなかなか根性があるようだ。
なんとか会話を続かせようと頑張っている。
千鶴は面倒そうに息を吐いて、席から立ち上がった。
「あっどこ行くの?」
「ついてくんな」
そして。
千鶴が歩み寄った先は、わたしの席だった。
――ってなんでだ?!
