千鶴はお父さん似なんだなあ。
切れ長の瞳と、整った顔立ち、痩せた体。
それに色の白いところがよく似てる。
けれど眼鏡をかけてるせいか、千鶴よりも神経質そうに見えた。
ワイシャツにスラックスっていう、格好のせいでもあるかもしれない。
「最近休んでるから、どうしたのかなって思って」
「そうですか」
「‥‥病気とかじゃないんですか?」
「ええ。娘は元気ですよ」
千鶴のお父さんは微笑んで答えてくれる。
その笑い方まで千鶴にそっくりだ。
作り物みたいな、そんな。
「千鶴に伝えたいことがあったら、聞いておきますよ」
「あ、いえ、大丈夫です」
わたしも笑顔をつくって、遠慮しておいた。
「そうですか。じゃあ」
千鶴のお父さんは扉の鍵を開けて、中に入っていく。
そして再び閉じられた扉。
それを見て、千鶴からの電話を思い出す。
――あれが、『いつもはいない』父親なんだ。
