楓は、私の鞄も籠の中に入れてくれた。
それから少し後ろを振り返り
私が後ろに乗ったのを確信すると自転車は動き始めた。
楓の背中は、暖かくてとても安心出来る。
「何か鈴姉もいたみたいだけど、今日は仕事休みなのか?」
楓が喋ると呼吸と心臓の音がとても伝わってきた。
「うん!それでお姉ちゃんが帰り迎えに来てくれるの。」
私は、明るく言った。
お姉ちゃんが休みの日なんて久し振りだったから。
「良かったな、久し振りじゃあないか?」
「うん。」
私は、背中で大きく頷いた。
「それよりお前帰りいつも何処に行ってるんだ?
最近は、特に帰りが遅くなってるよな。」
見られてたんだ!隣だから注意していたのに。
私は、どう返事したら良いか分からなくなってしまって押し黙っていた。
「立花?どうしたんだ?」
返事をしない私に戸惑いを感じたのか、自転車を止め私の方を振り返った。
「何でも無いよ?ただ秘密だから何て言った方が良いか
分からなくなっただけだよ。」
私は、必死に弁解しょうとした。
「お前、10歳の誕生日位から秘密が多くなってきたよな。」
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