「それなら言ってくれたら自転車で連れていったのに。」



私の胸は、少しドキリとした。



嬉しさと嘘がバレてしまうのでは無いかと言う不安でいっぱいだった。



「その子、凄く人見知りが激しいから………楓のその気持ちだけで嬉しいから。」



私は、楓の背中に顔をくっつけて言う。


「お前、今日はどうしたんだ?」



楓が優しく聞いてくる。



「何でも無いよ。」


楓には、伝えられない。



こんな辛い思いはもう誰にもして欲しくは無いから。



その後、私たちは何も話さないまま学校へと向かった。




すると門の所で数人の女の子が立っていた。



あぁ、今日も楓のファンが集まってるみたいね。



「楓、みんな楓の事待ってるみたいだから私一人で行くわね。」



私は、止められた自転車から降りようとした。



「ちょっと待てよ!」



降りようとする私の腕を楓が掴んだ。



「楓?」



どうしたんだろうと思って私は、後ろを振り返った。



まさか、止められるとは思わなくて少し驚いてしまう。



「お前一人だと危ないだろ!」



何が危ないんだろう?



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