そこへ、汗だくのメガネ君が。

「お前、苺を離せ!」

凌也さんの腕に、

力が入る。

「苺ちゃんは、渡さない」

「メガネ君」

私は今にも泣き出しそうだ。

それに気づいたのか、

メガネ君が、

静かに近づいた。


「苺は物じゃない。

オレの大事な人です」

凌也さんの腕を掴んで、

真剣な顔のメガネ君。


凌也さんは、
ため息をついた。


「今日は、返すけど、

次ははホントにもらうから」

そう言って帰って行った。