さくらんぼなあたしと王子様

鼻をすすりながらあたしは

おぼつかない足取りで、

何とか帰宅した。

「遅かったな?……莉愛?」

ちょうどリビングから出てきた

葵くんと遭遇した。

「な、なに?!」

ローファーを脱ぎながら

ビクビクしているのを

気づかれないように平然を装った。

「…着替えたら俺の部屋来い。」

「え?」

「はやくしろよ?」

そう言って階段を上がっていた葵くんは

自分の部屋に向かったんだと思う。

とりあえず着替えて葵くんの

部屋の扉をノックして、

入った。

「葵くん?入るね。」

葵くんはベッドに座ってヘッドホンで、

音楽を聞いていたけどあたしが

入ってきたことに気づき、

耳から外した。

「ほら、座れよ。」

「ん…。」

葵くんの横にポスッと音を立てて座った。