さくらんぼなあたしと王子様

「おはよう、持月さん。」

「おはよー。」

「……っ!」

ゆっくりだった足取りが

とまった。

この声は雛斗だ…。

「有重さんもおはよう。」

「お……おは…」

「うっわー、桜羅くんにまで
言い寄ってんのー?」

「桜羅くんが優しいからって
勘違いしてんじゃね?」

「タラシなんじゃん?」

ズキッ

ダメだ…。

あたしなんか挨拶されてもいい

存在じゃない。

ましては、挨拶してもいけない…。

あたしは、グッとおはようの

言葉を飲み込んで雛斗の横を

通り過ぎた。

ズキン

また鈍い痛みが、あたしの
胸を苦しめた。