手が冷たい人は心が温かい人、か。

私はへーじ君に気付かれない様、そっと自分の手をもう一方の手で包む。

夏が近づく曇り空の下、大小の灰色の工場に包囲された駅のホームを通り抜ける風は、じとじと湿っていて重く、生暖かい。

そのせいだろうか、普段あまり熱を持たない指先が今は汗ばむ程に温かかった。


「いきなりほっぺ触るとかセクハラでいつか訴えられそう」

「今はしないの」

「しないよ、めんどくさいもん」

「良かった。サエちゃんがめんどくさがり屋で。もし、あの時と違ってたら今頃逮捕されてたかもしれないな」


うーん、危機一髪だったか……とブツブツ呟きながら、へーじ君は私の横に座った。