「顔」


顔?

なんの事か分からず、伏せていた顔を持ち上る。

すると冷たい何かが頬にあたった。


「え、なに」


びっくりした私は勢いよく上半身を引きすぎて、ベンチのすぐ後ろにある時刻表に頭をぶつけた。

ゴン!とコント番組に出てきそうな、いい音がなった。


「大丈夫? 結構すごい音だったけど」


ぶつけた箇所を手で抑え、痛さもあるが恥ずかしい気持ちもあり、私は顔を隠す様にして前屈みに身体を折る。

私の安否を気遣うへーじ君の声は笑いを堪えているのか踊っていた。


「大丈夫だけど、さっきの冷たいの何」


「笑いながら心配しないでよ」と言ってやりたかったが、冷たい物がなんだったのか早く知りたかったので我慢する。