「それじゃ失礼しまーす」
看護師が去って行った後
千尋は佑李のそばに寄った。
「佑李、今何されてたの?」
「今はね僕の血圧とか体温とか心臓の動きを心拍数って言うんだけどそれを検査してたんだよ」
佑李は生まれたときから身体全体的に弱く
特に心臓が一番弱い。
だから同じ年の男の子よりも小柄で弱々しい感じが目立つ。
それに自分の家がどこにあるかも知らず
病院が家のような感じでずっと生活してきた。
佑李は小学校の入学式もまともに出られず
病院でその日を過ごした。
学校も一度も登校したことがない。
その分とても頭が良かった。
千尋が、佑李の分の学校で配られた教科書を持ってきたら
暇なときはその教科書で勉強し、
宿題も完璧に行った。
学校で難しい問題のテストが出て、テストを渡したときも
誰も解けなかった問題を難なくこなし
見事100点を取るぐらいだった。
だから佑李が難しい言葉や単語を口にすると、
必ず千尋の頭の中は「?」っでいっぱいになる。
