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陰陽師。己の霊力をもって不思議な力を使いこなす術者達。
そんな陰陽師の中でも頂点に君臨するのが瀬戸一族である。
陰陽師ならば誰もが尊敬する一族。
ある日、そんな瀬戸一族に双子が生まれた。
1人が男の子、もう1人は女の子。
その子たちが慧とあたしだった。
2人とも霊力が強く、またその兄である琉生も霊力が強かった。
だれもが男の子である琉生と慧に期待を抱いた。
成長するにつれて、どんどん強くなっていく2人。
もちろんあたしも少しずつ強くなっていた。
でも、誰もが琉生と慧に注目していてあたしの成長に気づかない。
彼等が一族中から修行をつけてもらっている中、あたしには忙しい合間に暇を作った祖父と父が1月に2時間程度の少ない時間しか教える者がいなかった。
母である綾香は教えたくとも、力がなかった。