ドアを開けると、うつむきがちに教室に入った。
「「「「「・・・女!?」」」」」
見事なハモリに若干引き気味で先生の横まで歩いた。
教室の中はざわざわと騒がしくなってきた。
黒板の真ん中あたりで足をとめたあたしは、正面を向き顔をあげる。
その瞬間、騒がしかった教室が再び静かになった。
(ご、ごめんなさいっ!!あたしがあまりにブスだったからみんな固まっちゃったんだっ!!)
佳音は1人そんな勘違いをしていた。
「それじゃあ、自己紹介しろ」
先生の言葉に頷くと、自己紹介をした。
「瀬戸佳音です。よろしくお願いします」
あたしは自己紹介をした後、軽く微笑んだ。
そのとたん、慧以外の生徒は皆赤面した。
「えっ!?大丈夫ですか!?風邪なら帰ってゆっくりしたほうがいいですよ」
佳音の言葉に、慧とほんの数人以外は揃って首を横に振った。
このとき、このクラスの全員が同じことを考えていた。“無自覚なんだ・・・”

