それから少し歩いたところで、あたし達は足を止めた。
「ここだよ。俺が合図したら入ってきて。慧は先教室入れ」
そういうと先生は教室に入って行った。
その後を追うように慧も教室後方のドアから入って行った。
教室の中はがやがやとうるさい。
そんな中でも、慧が教室に入ったとたん、慧に挨拶をする声が響いていた。
・・・慧、人気者だなぁ・・・。あたしやってけるのかなぁ…?
そんなことを思いながら、廊下で深呼吸をしていると、先生の声が聞こえた。
「おい、お前等静かにしろ」
でもそんな声は騒音の教室の中でかき消されてしまった。
すると先生は額に青筋を浮かべ、今度は殺気を出して言った。
「お前等、静かにしろ」
そのとたん、教室の中は静まり返った。先生は満足そうに笑っている。
生徒たちは、若干引きつった顔をしているに違いない。
あたしはひとり、そんなことを考えていた。

