ぼーっと突っ立ったまま考え込んでいたあたし。

するとそこに先ほど見た2人が近づいてきた。

「お疲れ様。すばらしい劇だったよ」

「っ・・・ありがとうございます」

あたしはなんとか平静を装いながらも不安でいっぱいの胸に手を添える。

「まさか、会長さん達が来てくださるなんて・・・光栄です」

そう。この場に現れたのは会長と副会長だった。

あたしは微笑を含んだ顔でそういうけれど、警戒は解かない。

事情を知っている慧や祥達も警戒しているみたいだ。

「先輩達がわざわざなんのようでしょうか?」

「そんなかしこまらないでよ。今日は佳音チャンに渡すものがあってきたんだ。はいこれ」

「あたしに・・・?何ですか?」

「見ての通りさ。それじゃあね」

そういって颯爽と立ち去った2人の背中を睨むように見送ったあたしは、その背中が見えなくなると同時に視線を手元に移した。

「佳音大丈夫か!?」

「うん。平気」

駆け寄ってきた慧にあたしはそう返すと、手渡された手紙のようなものを睨みつける。

あの人たちは何をたくらんでるの?

あたしはそれから視線を外さないで考え込んだ。

何が目的なのかさっぱり分からない・・・。

あたしは混乱する頭を必死に動かした。