「それじゃあ、担任呼ぶからちょっと待っててくれ」
「はぁい」
あたしが返事をすると、春希さんは部屋の隅にあったマイクに向かった。
春希さんは手慣れた手つきでスイッチを押していく。
「担任かわいそ・・・」
「だよな。あんな黒い放送で呼び出されるんだもんな・・・」
あたしの横で慧と琉生兄がそんな会話をしていた。
≪ピンポンパンポ~ン♪≫
放送の合図である音がながれると、春希さんは喋りだした。
≪瑛汰~。転校生来たから1分以内に理事長室まで来いよ~。じゃないと・・・分かるよな?≫
・・・なんとなく語尾の方が黒かった気がする・・・。
「ふぅ・・・。慧、瑛汰はあとどんくらいでここ来ると思う?」
「10秒」
慧が春希さんの言葉に返事をしてぴったり10秒後、理事長室のドアが勢いよく開いた。
「はぁはぁ・・・理事長・・・もっとまともな放送できないんスか?」
息を切らしながら中に入ってきたのはまたしてもいけめんだった。

