「いらっしゃいませ。ご指名はお決まりでしょうか?」
「この子~」
そういっていつの間に撮ったのか入口に置いてある指名用の写真を指差す女の子達。
「かしこまりました。それではお席でお待ちください」
女の子達のほとんどが護衛の皆を指名する。
「お待たせ~。待たせちゃってごめんね?」
そういって首をかしげているのは光君。
「全然平気だよぉ。ねぇねぇ、名前なんて言うのぉ?」
「僕?僕は光っていうんだ~」
「へぇ。光君っていうんだぁ。光君かわいいねぇ」
語尾にハートがついたような甘ったるい喋り方をしている女の子。
あたしはズキッっと痛む胸を手で押さえながらその光景から目をそらす。
他の女の子と話しているところを見るのがつらい・・・。
そんなあたしに受付担当から声がかかった。
「佳音ちゃん、指名。このお客さんはあと3分で、次行って」
「はい」
あたしは接客した相手を見送ると、急いで次のテーブルに向かう。
「お待たせしました。遅れてしまい申し訳ありませんでした。ご指名頂いた佳音です」
「おぉ!上玉!」
「佳音ちゃんかぁ。これから俺等と抜け出さない?」
そう言って腕をつかむチャラ男。
突然のことにあたしはどうしたものか・・・と困惑した表情を浮かべていた。