「2人とも何処行ってたんだよ!」
「光!いやらしいことしてないだろうな」
「だいたいいつもいつもお前は佳音ちゃんと一緒にいて簡単に抱きついたり・・・羨ましいぞ!」
・・・最後の人は感覚がおかしいのか・・・?
「演劇部に行ってたんです・・・。勝手に抜けてごめんなさい」
「部長がどうしても今がいいっていうから、僕も護衛らしくついて行っただけだよ!」
あたし達の言葉に皆は納得した様子。
「そうか。佳音ちゃん、演劇部の劇にも出るんだっけね。しかも主役でしょ?」
「あ・・・はい。一応・・・」
あたしはいつも以上に近く感じる男の子達に若干怯みながらも返事を返す。
「頑張ってね」
「はい・・・。ありがとうございます」
にっこりと笑顔を浮かべると、皆は顔を赤くして教室のあちこちに散らばって行った。
きもち悪かったのかな・・・。
あたしは少し落ち込みながらも教室に足を踏み入れると、自分の席に向かう。
その途中、何もないところで転びかけたあたしを光君が優しく支えてくれた。
「あ・・・ありがとう」
「いいえ。お姫様は危なっかしいからね。ちゃんと側にいないとね」
その言葉で真っ赤になったあたし。
一方の光君はニコニコとしていたかと思うと、次の瞬間には祥達に全力でタックルされていた・・・。
その周りではクラスの皆が“いいぞ!もっとやれ!”なんて声をあげていて・・・あたしは不安げな顔でそれを眺めていた。