男子校のお姫様


あたしは“何か”の正体を確かめて思った。

やっぱり・・・と。それと同時に嬉しさも込み上げて来た。

「春希さんっ!お久しぶりですね」

あたしは“何か”にあいさつをした。

“何か”の正体は春希さん。春希さんはあたしたちの叔父さん。お父さんの弟。

「またかわいくなったな~。ますますお人形さんみたいになって」

「・・・誰が・・・?」

あたしは周りを見渡してそう尋ねた。まわりにはもちろん女の人なんていない。

「・・・忘れてた・・・佳音は無自覚なんだったな」

「?」

春希さんはため息交じりに呟いた。

「あっ、そうだ。これからお世話になります」

あたしは春希さんから離れて1歩下がったところで軽くおじぎをした。

春希さんはここの理事長なんだ。

「佳音は相変わらず礼儀正しいな。こちらこそよろしく。佳音にはこれからたくさん活躍してもらうからな」

「はいっ!」

あたしは叔父さんの言葉に笑顔で返事をした。