「俺からは特に話はないが、委員長が台本を書いて来てくれたから、それ配るぞ~」

え!?委員長もう書いたの!?

そんなことを考えてるうちに回ってきた台本を見る。

「・・・なんかあたしだけ配役決まってる・・・?」

「あぁ、瀬戸は唯一の女子だから主役の女の子やってもらう」

マジですか・・・。

「ってことで、1時間目は配役決めと決まり次第軽く練習するぞ」

はぁ・・・主役光君がいいな・・・。

そう思いながら台本に目を通した。

どうやらこのお話はラブシーンがあるみたい・・・。

やっぱり光君がいいな・・・。

あたしは少し憂鬱な気分になりながら劇のイメージをつける。

すると、突然目の前にかわいらしい顔が飛び出してきた。

光君だ。

「佳音ちゃん、主役だね」

「うん・・・。この話ラブシーンあるんだよ・・・」

「嘘!?だったら、何が何でも僕が相手役勝ちとってこないと!」

光君はそういうと拳を握って気合いを入れたようなポーズを見せる。

「もともと佳音とペアってことで競争率高いけど、異常に周りのヤツらの目が血走ってると思ったら・・・なるほどな。ラブシーンが原因か・・・」

「皆あたしとラブシーンなんてやりたくないもんね・・・。押しつけ合いか・・・」

あたしがため息交じりのそういうと、皆は苦笑いをした。

そんなことにあたしは気づかなかった。